HOME | WebCam | Bicycle | Photo | Note | BBS | Other
運 河 と 干 潟 の 自 然
  かつては干潟だった 腕試し ボラの引きには病みつき
 海地域での運河の成り立ちはさまざまですが、その多くは河口に広がる浅い海つまり干潟を埋め立ててできた区画間が運河に相当するでしょう。干潟を臓器にたとえるなら肝臓かつ肺かもしれません。そして潮汐がダイナミックな代謝作用を支える心臓の役目を果たし、注ぎ込む河川の水は土砂や栄養分を運ぶ血液ではないでしょうか。このようにして豊かな生物層を形成している干潟は、どの構成要素を欠いても健全な状態を維持してゆくことはできません。慢性的に酸素不足になりがちな都心の運河などの水域では、干潟の生態系がそのままの状態で通用するはずもなく、元の状態に比べると概ね生物層の厚みは失われがちだと思われます。

 家、野田知佑をしてその川下りのエッセイを糞尿憚といわしめた河川Aは、1960〜1970年代にあっては死の川同然でした。しかし近年ではアユの溯上も確認されドブ川の汚名も返上されつつあるようです。昔にさかのぼれば春に咲き誇る桜は河岸に明媚な風情を漂わせ、日本の代表的な唱歌としてその情景が今も歌われています。今日では首都高速を4時間あまり通行止めにして行われる花火大会は東京下町の代表的な夏の風物詩として有名です。

 して河川Aの南に位置する河川Bは、流量の殆どを水道水として上流の取水堰で奪い取られ、実際に川を流れる水は、途中から流入する下水や雨水、そしてほんのわずかな湧き水ばかりだといいます。毎年サケの回帰も辛うじて確認されるようになりましたが、回帰時期の大幅なズレが原因で(?)、人工採卵を行っても再生産には未だ至っていなようです。一方、アユの遡上は年々その数を順調に伸ばし続け、中流域ではアユ釣り師が竿を出す姿も普通に見られるようになりました。

 んな二つの河川の河口域に広がる浅瀬は、かつては豊かな漁場として海苔やアサリを始め、多くの魚貝類が水揚げされていたといいます。現在は流通・工業・空港の用地や居住地として埋め立てられ今やその面影すら垣間見ることはできません。しかし、この海で連綿と続いてきた命の鎖はちぎれ千切れになりながらも、時に目の前でそのたくましさを披露してくれることがあります。バチ抜けと呼ばれるゴカイの仲間の集団産卵、アミエビの大発生やボラの大群はマスコミでも取り沙汰されます。そしてアングラーを楽しませてくれるシーバスも春に秋に大挙してこの運河や干潟にやって来ることがあります。

 の水域で特徴的なのは巨大な下水処理施設があることです。合流式下水道が災いして豪雨時には処理しきれなくなった下水が未処理のまま排出され、まさに糞尿の運河と化すこともあるそうです。強烈な悪臭を発する汚泥がこの運河一帯の底に溜まっているのはそのせいかもしれません。さらにこの下水処理場の処理能力は尋常ではなく、一日におよそ東京ドーム一杯分が排出されていると推測されます。これは東京の上水道一日分の配水量の1/4〜1/3に相当します。東京都の水道水の七割が他県のダムに依存していることを考えると、この処理水はさしずめ河川B上流部の堰で取水された分に相当するわけです。河川Bやその河口の生物を育む筈の水は、人間によって浄化殺菌されて水道管を通り、家庭や会社で汚された水は皮肉にも河川Bの河口のすぐ隣で活性汚泥方式で浄化されて運河に放出されているのです。

 川Bの第二の河口ともいえるこの一帯は、湾からは運河を伝って最短でおよそ二キロメートル奥まった場所にあります。空港拡張前は潮通しも良好で、かつてこの干潟にはアサリやシオフキそしてゴロタにはカキが豊富に生息していた痕跡を見ることができます。現在は塩分濃度が下がって汽水域化が顕著になっているようで、今はわずかにシジミが生息している程度です。カキが着いていたゴロタにはフジツボがはびこっています。その他にはゴカイの仲間やシャコも居るようですが、三番瀬ほどの豊かな(?)生物層を育んではいないようです。第二の河口とはいっても、都民の体の中や風呂やトイレや台所を通ってきた水を浄化したわけですから、河川の水が本来持っているような養分やミネラル分を期待することはできません。まして未処理の下水があふれ出てしまうような水域ですから住める生物も限られてしまうのでしょう。ひとつ心配されるのがし尿由来のホルモン攪乱物質です。現行の活性汚泥浄化方式では除去できないこの物質は、おそらく河川Bの比ではない高濃度のままで運河に排出されているのではないでしょうか。河川のようなスパンが存在しないこの水域では、野生生物の汚染物質に対する影響調査は行われることはないのでしょう。まして経済的生産性を失ってしまった水域では余計そうなのかもしれません。

 の水域を管轄するC区は五十億円の巨費をかけて、区民の憩いの場としての人工なぎさを造成中です。一番奥まった場所に造成するため、なぎさ本来の生命力のある浅瀬が取り戻せるかどうか疑問が残らないでもありません。今までこの場所は一メートルを超えるヘドロが溜まる底なし沼状態のシャローがありました。自然の浄化能力が失われた水域であることは確かです。それでもヘドロの運河を浚渫して、そこに浄化した砂を補給してなぎさを造成するということは、不足しがちな溶存酸素量を補うという点では価値のあるものです。できるならば処理水をなぎさ側に向けて流していただきたいものです。なぎさに葦などの水生植物を植えるなどして、擬似的な河口域を形成できるのではないでしょうか。人工的な第二の河口も周囲に自然の入り込む余地を何パターンも用意すれば、柔軟で厚みのある生態系が造り出せるかもしれません。人が憩える施設よりも先ず始めに生物が豊かに生息できる環境を整える必要性を強く感じます。

 を転ずればこの地は夏にはコアジサシが繁殖し、冬には北方の渡り鳥が羽を休める場所でもあります。そのすぐそばで、平成12年に高濃度のダイオキシン(コプラナーPCB)に汚染された土壌が発見されました。その量はドラム缶6,000本分だといいます。自然の回復スピードに汚染源の根絶が遅れをとらないように、さらなる綿密な調査が行われることを願ってやみません。そしてこの地が本当の意味でのサンクチュアリに生まれ変わることを切に祈るばかりです。

  ※このページは釣りを通じて都心部の運河や干潟における自然の豊かさをお伝えするものであり、釣果や釣り場情報を提供するものではありません。これらに関するご質問等にはお答えしかねぬ場合もありますのでご了承ください。 夜の宴が嘘のよう
  晴れた朝 気分は最高 干潟が運河に変わって・・・ ストラクチャーゲームに嵌る
  なぎさは命の宝庫  
  ロケーションは最高だが・・・ 第二の河口 贅沢なお花見
    静かに動いてる
  嵐の前の静けさ 干潟とエイの関係 鳥と戯る
  静かな幕開け  
  高活性はなんでもあり シャローゲームはやめられない マルタも乱舞する
    招かれざる客
  宴の後 朝のビッグワン まだまだ続く
 
Menue
    Copyright (C) 2003-2004 Kadoneco All rights reserved.